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#動物の哀悼 #悲嘆と喪失 #社会的絆 #比較認知と行動観察 #擬人化の限界 #
文庫 死を悼む動物たち は、自然人類学者バーバラ・J・キングが、動物が仲間や家族の死にどう反応するのかを、観察報告や研究知見にもとづいて検討するノンフィクションである。従来の科学は、動物の行動に人間の感情を投影すること、つまり安易な擬人化に慎重だった。一方で近年、イルカが死んだ子を離さない、ゾウが遺骸に関心を示し枝葉をかける、犬や猫など身近な動物にも喪失後の変化が見られる、といった事例が多方面から語られ、議論が活性化してきた。本書は、そのような事例を並べて感動を誘うのではなく、悲しみや哀悼という語を使うことの難しさも含めて、何を根拠にどこまで言えるのかを丁寧に考える。死をめぐる行動を通じて、人間と他の動物の連続性と差異を見直すことが目的だ。
本書は、動物は悲しむのかという問いを、感動話か否定論のどちらかに回収せず、観察と解釈の境界を丁寧に引きながら考え抜く一冊である。動物行動学や自然人類学に関心がある読者はもちろん、犬や猫などと暮らし、死別後の変化を目にした経験がある人にも向く。ただし、動物の内面を断言する読み物ではなく、わからなさを残したまま精度を上げていく科学的態度が中心にあるため、明快な結論だけを求める人には歯切れが悪く感じられるかもしれない。得られる利益は、第一に、死をめぐる行動を観察可能な事実として捉え、そこから慎重に推論する思考法である。第二に、社会的絆の重みを、種を超えた連続性として捉え直す視点である。類書には、動物の知性や共感を称揚する本も多いが、本書の特色は、擬人化を戒めながらも情動の可能性を真剣に扱い、死という極端な局面で関係性の実在を浮かび上がらせる点にある。動物と人間の距離を、近づけすぎず遠ざけすぎずに測り直したい読者に、強い示唆を与えるだろう。