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- Apple Books: https://books.apple.com/us/audiobook/%E5%A4%9C%E8%A1%8C%E7%A7%98%E5%AF%86/id1782092783?itsct=books_box_link&itscg=30200&ls=1&at=1001l3bAw&ct=9natree
- eBay: https://www.ebay.com/sch/i.html?_nkw=文庫+よど号+事件+最後の謎を解く+島田滋敏+&mkcid=1&mkrid=711-53200-19255-0&siteid=0&campid=5339060787&customid=9natree&toolid=10001&mkevt=1
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#よど号事件 #ハイジャック #金浦空港 #国際交渉 #危機管理 #
本書は、1970年3月31日に発生した日本航空351便よど号ハイジャック事件を、当時の現地対策本部で実務を担った著者が回想しながら検証するノンフィクションである。著者の島田滋敏は日本航空の社員として対策に関わり、韓国ソウルの金浦空港で事務局長として調整と交渉の最前線に立った立場から、事件対応の現場を具体的に描く。焦点となるのは、福岡で給油後に平壌へ向かったはずの機体が、なぜ金浦空港に着陸したのかという最後の謎である。単なる事件史の整理にとどまらず、当時の国際環境や関係当局の利害が交差する中で、情報がどのように扱われ、交渉がどう動いたのかをたどり、理解の空白を埋めることを目的としている。
本書は、よど号ハイジャック事件を、現場で対応した航空会社側の実務責任者という稀少な視点から読み解ける点で、事件研究の中でも独自の位置を占める。事件の概要を知っている読者ほど、平壌に向かったはずの機体がなぜ金浦に降りたのかという最後の謎を軸に、情報の空白がどこで生まれ、どのように説明が固定化していったのかを立体的に理解できるだろう。国際政治、外交交渉、危機管理に関心のある読者にとっては、国家間の利害が現場の選択肢を規定し、交渉が理屈だけでは進まない現実を学ぶ材料になる。逆に、単純な善悪や陰謀論的な快楽を求める読者には、慎重な検証の積み上げが回りくどく感じられるかもしれない。しかし、同種の事件を扱うルポや概説と比べても、金浦空港の対策本部で何が起きていたのかを当事者の言葉で追えること、そして未解明点に正面から問いを立て直す姿勢が際立っている。歴史的事件を理解するための一次に近い記録として、読む価値は高い。