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#英語初版とドイツ語版 #反ユダヤ主義と国民国家 #帝国主義と人種思想 #無国籍者と権利を持つ権利 #イデオロギーとテロル #
牧野雅彦『精読 アレント『全体主義の起源』』は、ハンナ・アレントが1951年に刊行した主著を、成立事情と本文の展開に即して読み解く政治思想研究書である。対象となる原著は「反ユダヤ主義」「帝国主義」「全体主義」の三部から成る巨大で複雑な著作であり、しばしば最終部だけが取り上げられてきた。本書はこの読み方を退け、英語初版の順序を軸に、後のドイツ語版との異同にも目を配りながら、各部がどのようにつながって全体主義論を形づくるかを跡づける。焦点はナチズムとスターリニズムの比較的分析だけではない。近代国民国家、ユダヤ人をめぐる政治的・社会的状況、帝国主義的人種思想、階級社会の解体と大衆化が、いかに前例のない支配形態の条件となったかを明らかにする。原著の案内であると同時に、アレントの問題設定を歴史的文脈の中で捉え直す一冊である。